猪苗代 盛(Sakari Inawashiro)

教授、理学博士


研究室
脳情報処理研究室
情報工学棟(61号館)4階406室
電話:56-8819

略歴
1931年生まれ
東北大学理学部物理学科卒業
理学博士
東北大学工学部応用物理学科助教授
東北大学工学部応用物理学科教授
日本大学工学部教授

担当科目
関数論(情報2年),ベクトル解析(情報2年),論理プログラミング(情報3年), 論理プログラミング演習(情報3年),シミュレーション工学(情報4年)

研究テーマ
  1. 神経回路網による方位選択性の自己組織化

    [研究の背景]

    神経回路網による脳の自己組織化の問題に取り組み始めた。脳は今までの科学研 究で取り残された重要問題の一つでもあり、老齢による痴呆、精神病、薬物中毒などに対する治 療の研究上の対象でもあり、またノイマン型コンピュータとは全く異なる原理で動く知的情報処 理系であり、哲学や認知科学てきには人間の心の座として究極の興味を持たれてきた。  米国では1990年にブッシュ大統領が脳の研究の重要性を認識して、1990年から199 9までの10年間を”脳の10年”と宣言して、官民挙げて脳の研究推進を行なうことになった。 これからの10年を脳の研究の一区切りとして、さらに次の21世紀脳の研究につなげようとい うものであった。その後ヨーロッパでも、”ヨーロッパの脳の10年”の宣言がなされ、日本で は1993年に”脳の世紀”という民間レベルでの運動が始められた。

    [研究テーマ]

     我々は1988年に、神経回路網の自己組織化ということで、大脳の一次視覚野における方位 選択性の形成の研究に取り組み始めた。一次視覚野はこれまで神経生理学的に良く調べられてお り、その結果の説明が脳の数理的な研究の突破口になる可能性がある。  脳の一次視覚野には、傾いた棒状パターンの傾き角に選択的に反応するニューロンがぢたい連 続的に配置されていることが Hubel & Wiesel によって発見され、最近はBlandel等により光学記録による詳細な皮質写像が見出されている。これに対して神経回路 網の数理モデルを構築し、その自己組織化による方位選択性の形成をコンピュータシミュレーションにより研究しようとするものである。

所属学会
日本物理学会,日本神経回路学会,電子情報通信学会,INNS(国際神経回路学会),日本応用物理学会

代表的論文
  1. S.Inawashiro, S.Katsura and Y.Abe "Lattice Green's function for the simple cubic lattice in terms of Mellin-Barnes type integral II" Journal of Mathematical Physics, Vol.14, 660-562 (1973)
  2. F.Matsubara and S.Inawashiro "Mixture of two anisotropic antiferromagnets with different easy axes" Journal of Physical Society (Japan), Vol.42, 1529-1537 (1977)
  3. Sakari Inawashiro, Yoshinori Musha, Shogo Miyake and Fumitaka Matsubara "The Self-organization of the Orientation Selectivity through Learning by Inhibitory Interneurons" International Joint Conference on Neural Networks (Nagoya, Japan) 2524-2527 (1993)
  4. Fumitaka Matsubara, Katsunori Morishita and Sakari Inawashiro "Reentrant-Mixed Phase Transition in a Metallic Spin-Glass Alloy" Journal of Physical Society (Japan) Vol.63, No.2, 416-419 (1994)
  5. Kohei Murao, Fumitaka Matsubara and Sakari Inawashiro "Spin Dynamics of a One Dimensional Ising-like Antiferromagnet in a Transverse Magnetic Field" Journal of Physical Society (Japan) Vol.64, No.1, 275-290 (1995)


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脳情報処理研究室(61号館4階406室)

指導教員名
猪苗代 盛

研究室の方針
自主的に開発や研究を行なえるように学生を指導することを目標とする。卒業研究は、テーマに沿って背景 になっている知識を勉強し、現実的なモデルを構築し、具体的な計算の方法を策定し、実際にプログラムを作成 してコンピュータで計算し、結果を図で描く。研究分野は、脳における情報処理に関係しており、未知のことも 多く、モデルの構築に当たって、学生の新鮮なアイデアを期待したい。

卒業研究テーマ(平成8年度)
1)視覚野における方位選択性の自己組織化 幼猿や幼猫の第一次視覚や野において、傾いた棒状パターンに反応するニューロンが連続的に並んでいる。これ は生後のし書く刺激によって自己組織化によって、形成されたと考えられている。これに関するコンピュータ・ シミュレーションを、色々な研究レベルで行なう。
2)神経回路網における連想記憶 自己連想記憶からさらに進んで相互連想記憶を、神経回路網でおこなう。
3)確率を利用した連想の学習    神経回路網における学習は、シナプス結合強度の変化によって行なわれると考えられている。このような学習を 通常のコンピュータで、連想の結合強度の変化として学習を計る。

現在開発中のシステム
「自己組織化とモンテカルロ・シミュレーション」 現在、視覚野の神経回路網の自己組織化に関して、自己無撞着 モンテカルロ・シミュレーションを開発中である。

卒業研究テーマに関連した科目名
実用プログラミング言語、同演習
基礎線形数学、ベクトル解析、数値解析II
物理学IIまたは、電磁気学
論理プログラミング言語、同演習
シミュレーション工学、認知科学、知識工学、生体情報工学、人工知能、

主な研究設備
ワークステーション サン4/10 1台
パソコン Power Macintosh 6100/66AV, Macintosh Quadra 800, Macintosh Centris 650,Power Macintosh 7200/90 2台, Power Macintosh 6210
ラップ・トップ Macintosh Power Book 165c, NEC 98 Note Ns/R

補足事項
「礼儀正しく、ヤル気のある学生が望ましい。自分自身で考える独立心が大切である。


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